お中元の意味と由来

夏も本番になる頃、デパートではお中元商戦が始まります。

お中元の送り先をメモした紙を片手にした人で混雑し、ビールやハムなどの贈答品がどんどん売れていきます。

中国の道教では正月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元とし、合わせて3元としました。

そして、日本でも1年を2つに分け、正月と7月を初めの月とする考え方があり、上元は小正月、中元は盆節供として取り入れられたとされています。

日本の盆行事の歴史は古く、「日本書紀」の推古天皇の時代(606)にその記述があります。

7月15日の設斎(おがみ)が現在の盆、つまり盂蘭盆会です。

はっきりと盂蘭盆会という語が出てくるのは斉明天皇の時代(657)です。

盂蘭盆会は「仏説盂蘭盆経」(265~316)にある伝説に由来しているとされています。

その伝説から毎年7月25日に供養をすると、両親や祖先を餓鬼の苦しみから救うことができるとされ、そこから盂蘭盆会が生まれたという説が有力です。

盂蘭盆という語は、ウランバナ、つまり倒懸(とうけん)、地獄で逆さまにつるされる苦しみという説や、死者の霊界を意味するイラン系ソクド人のウルバンという祭祀に由来するという説、そして、容器の盆を示しているという説など、いくつかの説があるのですが、民俗学者の柳田国男は、盆は祖霊に捧げる供物を盛る器としています。

盂蘭盆会は、親孝行の行事として長く言い伝えられています。

江戸時代には、亡くなった親には墓参りを、生きている親には生見玉(いきみたま)と呼ばれる贈り物が習慣になっていきました。

貝原益軒の「日本歳時記」(1688)によると、生見玉や刺鯖(さしさば)などが親元に持参する贈り物でした。

刺鯖は背開きの塩鯖にさらに塩をたくさんふりかけ、1週間重石をかけて塩をしっかりしみ込ませたものを天日干しして、その後陰干しをして作ります。

鯖が盆肴として用いられたのは、鯖が散飯に通じるからだとされていますが、定かではありません。

散飯とは食膳の飯の上部を取って、鬼子母神(きしもじん/きしぼじん)などの神に供えること、もしくは供える飯のことですが、鯖の読みがこの散飯と同じことから、仏や神には決して供えてはいけないとされる生臭物(なまぐさもの)の中でも特別に鯖だけが用いられたようです。

もともと盆の生見玉の俗習が長く続いていたところに、江戸時代になって中国の道教の影響を受けた中元の信仰が広まり、やがてそれが合わさってお中元の贈答の俗習ができたのです。

現在では、お中元は盆の時期には親や親戚、日頃お世話になっている方に贈答品を送る習慣になっていますが、その起源は親元に刺鯖を届ける風習だったといえます。

関東ではお中元は6月下旬ごろから7月15日くらいまでに送るのが一般的です。

関西ではお盆の前までに送ります。

今の曆は旧暦より約1ヶ月早めです。

お歳暮の意味と由来

大晦日の年越しの晩は、年取りの晩でもあります。

正月三が日に新年の家族繁栄を祈念して年取り魚を食べます。

魚の種類については明らかな地域差があります。

東は鮭、西は鰤(ぶり)ですが、境界線は糸魚川・静岡構造線あたりといわれています。

県内に鮭文化圏と鰤文化圏が両方とも存在しているのは新潟県、長野県、静岡県ですが、新潟県では糸魚川周辺や佐渡の一部が鰤で、他は鮭に分かれています。

長野県では長野市の北西にあるの冠着山(かむりきやま)の北東が鮭で、南西が鰤に分かれています。

静岡県では天の川の東側が鮭で西側が鰤です。

年取り魚には珍しいものもあります。

例えば、北海道南部、青森県の下北半島から三陸、高知県、長崎県は鯨が年取り魚です。

どの地域も漁業が盛んな地域なので、小魚を追い込む鯨は神聖視され、晴れた日には鯨を食べて豊漁を願う意味があったようです。

また、三重県の志摩半島ではうつぼが、山陰地方の山間部では鮫が年取り魚として大晦日と正月に食べられていました。

年取り魚は、大晦日の晩の食膳に白飯と一緒に家族そろって食べると、家族全員が一斉に年を取るとされていました。

お歳暮も以前は大晦日に親元に贈る物を指していました。

お歳暮の品物を年取り物や年取り米などと呼んで、新年に親の生命力を高くしてあげることが目的になっていたのです。

1年の最後は祓え清めの行事となり、この1年を振り返って総決算し、頭を切り替える時期にあたります。

現在でも正月になると、新しい年に気持ちを切り替えて出発しようという気持ちは確実に受け継がれています。

お歳暮を贈る時期は12月の上旬から20日頃までです。

遅れそうな場合は、お年賀として送っても構いません。

お中元やお歳暮は、他の贈答と同様に、持参するのが本来の姿です。

また、もし持参するのであれば、外包みは紙袋などよりも季節に合った柄の風呂敷を使いましょう。

遠方や先方が多忙な場合などは、配達を依頼してもかまいませんが、その場合は、挨拶状を添えるようにします。

また、組織の人、または教師や教職にある人には、規定を確認してから送ります。

贈り物を年に1回にしたい場合は、お歳暮のみにするとよいでしょう。