カルロス・ゴーン容疑者が50億円の過少申告で逮捕されました。

このカリスマ経営者に一体何が起こったのでしょうか。

カルロス・ゴーン容疑者事件とは

2018年11月20日の午前11時半ごろ、首相官邸に日産幹部の姿がありました。

日産幹部の川口均専務執行役員は、菅官房長官に昨日記者会見した内容を報告しました。

「お騒がせして申し訳ない」と伝え、長官も状況について驚いたと言っていたそうです。

衝撃の出来事から一夜明けて、日産本社前には多くのマスコミ関係者が詰めかけ、その関心の高さが伺えます。

カルロス・ゴーンが逮捕された翌日の11月20日には、株式市場が大きく反応しました。

東京市場では日産株が安値を更新しました。

ヨーロッパ市場でもルノーの株が急落しました。

カルロス・ゴーンが関わっていた自動車メーカー3社の連合に衝撃が走りました。

三菱自動車の益子修CEOは、「サポートもしていただいたから驚いたし、残念だし、どうして?という複雑な思いです」と語りました。

ルノーの従業員は、「まだよくわからないのでコメントできない」「予想もしていなかったことなので驚いた」と動揺を隠せない様子でした。

カルロス・ゴーン氏の容疑は、金融商取引法違反で、投資材料とされる有価証券報告書、そこに記載された容疑者の役員報酬は5年間で約49億8700万円です。

しかし、実際には約99億9800万円でした。

つまり、50億円も少なく記載していたということなのです。

日産自動車の西川廣人社長は、「社内調査の結果、本人の主導による重大な不正行為が大きく3点ありました」と発表しました。

日産自動車の社長が発表したカルロス・ゴーン容疑者の不正が発覚したきっかけは内部通報でした。

社内調査で事実関係を調べ上げて、警察に通報したそうです。

関係者の話では、特捜部はカルロス・ゴーン容疑者の不正に関与したとされる日産関係者と司法取引に合意し、捜査に協力する代わりに、処罰の見送りや処罰を軽くする取り決めをしたそうです。

これは国内では2例目の適用となります。

会見に出席した会長は「長年のゴーン統治の「負の側面」と言わざるを得ません」とコメントしました。

カルロス・ゴーン容疑者の日本での業績

今から19年前に、カルロス・ゴーン容疑者は日産の深刻な経営危機を救うために来日しました。

確かな経営手腕を持ち、42歳の若さで自動車メーカー「ルノー」の副社長に就任し、わずか2年で経営を立て直した実績もありました。

カルロス・ゴーン容疑者が日産自動車で就任直後に行ったのが「日産リバイバル・プラン」という大規模なリストラでした。

その時、カルロス・ゴーン容疑者は、会見で「どれだけ犠牲が必要となるか、私にも痛いほどわかります」と発言しました。

「日産リバイバル・プラン」では、日産の5つの視力工場閉鎖し、グループ全体で約20,000人をリストラしました。

その辣腕ぶりから、コストカッターとも言われていました。

その一方で、カルロス・ゴーン容疑者のやり方に反発していた従業員も多く、大規模なリストラ政策に対してデモが起きたこともありました。

「カルロス・ゴーンは労働者と市民の声を聞け!」と叫ぶデモが行われていました。

しかし、2000年6月には、ルノーと日産が提携したことにより、カルロス・ゴーン容疑者は日産の社長に就任しました。

就任会見では、「私たちは事業の透明性を保ち、定期的に財務状況をご報告することを約束します。当社は、さらに進んだ国際会計基準に向けて移行中であり、その中で透明性の確保は特に重要になります」と発言しました。

その後・カルロス・ゴーン容疑者は凄まじい活躍をし、2兆円の有利子負債を0にしました。

さらに6年連続業績アップというV字回復を実現させました。

当時の世間での注目度は高く、当時の総理大臣であった小泉純一郎首相を表敬訪問した際には、「見事、立て直したからな」と首相も驚くほどでした。

そして、2004年には、産業の振興等で業績をあげた人物に送られる藍綬褒章を受賞しました。

同年の秋には、園遊会に出席し、「日産の12万の社員とともに働けたことが、私にとっても大変光栄でございました。そして、日産という会社のため、日本の工業のために働けた事は私にとって大変嬉しいことでございました」と述べ、名実ともに日本で評価される人物になりました。

2012年にはニューヨークの名物タクシー「イエローキャブ」に日産の自動車が採用されました。

カルロス・ゴーン容疑者は、その発表会で、「ニューヨークの街角という最もエキサイティングなショールームで私たちのブランドや車を皆さんに紹介する機会を得た」と発言しました。

多くの結果を残し、その後、社長兼CEO兼会長に就任しました。

しかも、ルノーでも社長兼CEOを勤め、日本だけでなく、世界でも注目されるようになりました。

2016年には、その当時、問題となっていた燃費不正問題を受け、三菱を傘下に収めると発表しました。

そのとき、カルロス・ゴーン容疑者は、「消費者の信頼を回復するために何でもするべきだ。歴史を繰り返さないために、真の改革が必要だ」と発言していました。

こうして、カルロス・ゴーン容疑者は、経営者としてだけでなく、改革者としても日産を再建させました。

こうして、昨年の日産グループの販売台数はトヨタを抜いて世界2位になりました。

その一方で、カルロス・ゴーン容疑者の日産の役員報酬には、常に疑問の声が上がっていました。

このような疑問の声に対し、カルロス・ゴーン容疑者は、「私の報酬を日本の水準で考えると法外なものです。グローバルスタンダードだとあらゆる面において平均以下です」と言っていたそうです。

日産自動車社長の会見でのコメント

今回の事件で、日産自動車社長の会見には200人以上の報道陣が詰めかけました。

この会見で日産自動車の社長は、「株主の皆様、それから関係者の皆様に多大なご心配をおかけする事態になってしまったこと、これは会社を代表して深くお詫びを申し上げたいと思っております」と、信頼を裏切ってしまったことに対し、関係者に陳謝しました。

しかし、その一方で、「何と表現したらいいか非常に難しいですけれども、残念という言葉ではなく、はるかに超えて、強い憤り、そして、私としては、落胆ということを強く覚えております」と発言しました。

逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者について、「事実としてみると、なかなか他の人間ができなかったことを、特に、初期については、非常に大きな改革を実施したという実績は紛れもない事実だと思います。その後については、功罪両方あるかなというのが私としては本当の実感でございます。したがって、いろいろ積み上げてきたこと全部を否定することができません。権力が集中したと、それに対して、そうではない勢力からクーデターがあったという理解はしていない」とコメントしました。

また、権力が集中した事は認めましたが、あくまでもクーデターではないと述べ、逮捕されたもう1人の容疑者で影響力を持った、側近の代表取締役であるグレッグ・ケリー容疑者については、「ケリーという人間ですけれども、長い間の中でゴーンの側近として様々な仕事をしてきた。ゴーン氏そのものの権力を背景に相当な影響力を持って社内をコントロールしてきたと言えると思います」と発言しました。

また社長は、「本事案で判明したゴーン主導の不正、あるいは長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるをいません」と付け加えました。

日産はカルロス・ゴーン容疑者が逮捕された2日後の取締役会で、ゴーン容疑者の会長職を解く決議案を提出するとしています。

日産自動車の社員・幹部のコメント

この逮捕によって、日産自動車の社員からは、「びっくりです、驚きです、完成検査問題とかあったから、企業体質的にどうなのかなと思いましたけれども」と不安の声が上がっていました。

日産自動車のある幹部は、「圧倒的な権力者であり、普通の権力者とは違う。ルノーという大株主をバックにしていて、そこの社長でもある。内部調査は終わっていない。今後もいろんな課題が見えてくるだろう」と発言したそうです。

「今回のことに関してはゴーン容疑者がケリー容疑者に指示をしていたのか」という質問に対し、日産の社長は、「我々がつかんでいる事実はございますけれども、そこの部分に関する最終的なご判断というのは捜査当局でされると思っております。その2人が首謀者であるという事は間違いないというように見ております。」と答えました。

日産の社長は2人が首謀者と言い切りましたが、今後の捜査に与える影響は一体どうなるのでしょうか。

特捜部はカルロス・ゴーン容疑者の家宅捜索などもしており、今後も不透明なお金が出てくる可能性がありそうです。