商談や交渉の結果は始まる前に9割決まっている

ビジネスで避けて通れないのが商談や交渉などの相手との交渉事です。

これには相手の心理を読み解いて、こちらの思い通りに相手を動かすという方法が有効です。

この方法では、公式な交渉を始める前の段階がとても重要です。

そういう意味では、交渉事は始まる前から始まっているといえます。

交渉をする前にしておくべき重要なことは、交渉相手との心の距離をできるだけ縮めておくということです。

中でも、初めて一緒に仕事をする相手であれば、さらに重要です。

例えば、仕事の打ち合わせをする際に、あなたの近くまで迎えに来てもらうという方法です。

まず、最寄りの駅から相手に電話をして、駅から御社までの道がわからないということを伝えます。

すると、大半の場合、相手は自分で来いとは言いません。

ほとんどの場合が前の駅まで迎えに来てくださるはずです。

大事なのはここからです。会議室で商談を開始する前の駅から会議室までの間で商談の9割が決まると言っても過言ではありません。

その数分から数10分の間の相手との会話から、相手の私的な情報を引き出します。

ここで大切なのは、その日の商談や交渉に関連する話を一切しないということです。

極端に言うと、ビジネスとは無関係な話の方が良いともいえます。

というのも、そこで知りえた情報は、交渉中には使わないからです。

私的な情報を聞き出す目的は、ビジネスでの交渉の内容をを知ることではなく、相手の性格や行動パターン、趣味、嗜好などの私的な情報を引き出すことです。

しかし、私的な情報を知ることすらも本来の目的ではありません。

ここでの目的は、相手のことを知ることではなく、相手に話させることです。

それによって相手と私的な会話ができる間柄になることが重要なのです。

ビジネスとは関係ないところで、どのくらいお互いの心の距離を縮めるかが重要なのです。

だからこそ、交渉の前から交渉が始まっているといえるのです。

このケースでは、最寄りの駅から相手の会社まで移動する時間が交渉前の段階になります。

そこでビジネスの時間をどのくらいプライベートな時間にできるかが重要なのです。

ですから、会社まで歩いている間に、行きつけのお店の話や趣味の話、家族に関する話など、私的な話をどんどん相手にしてみます。

とは言うものの、普通のビジネスマンが先方に迎えに来てほしいとは言い出しにくいかもしれません。

そんな場合は、あなたが相手を迎えに行けばいいと考えればいいのです。

あなたの勤めている会社で商談や交渉があって、相手に来社してもらう際に、あなたの方から迎えに行けばいいのです。

ここでご紹介した技術をそのまま利用するだけでなく、あなたの置かれている環境や状況に合わせてアレンジして利用するという考え方が大切です。

会社から駅がすぐ近くにあっても、相手を迎えに行って、会社に案内するまでの間に、相手がまだビジネスモードに入っていない状況で会話すればいいのです。

逆に考えれば十分に使えますし、迎えに行くことで好感をもたれることにもなります。

あなたの会社が高層ビルの高いところにあるのであれば、1階の受付に迎えに行って、エレベーターの中で話をしてもいいでしょう。

初対面ですぐに私的な会話をするのが難しいと感じたら、交渉後に私的な話をして親睦を深めるというのも1つの手です。

交渉が終わった後は緊張感が緩みやすいので、交渉の後に交渉とは無関係なプライベートな話をするのです。

交渉の後であれば初対面ではなくなるので、交渉の前に会話するよりも気軽に会話できるはずです。

それもできないようであれば、会社に戻ってからお礼を兼ねたメールを送ってもいいでしょう。

そこでもさりげなくプライベートな話題を出しておくのです。

1回目の交渉で相手と打ち解けられない場合は、次の交渉のために、1回目の交渉の後に打ち解けておきます。

そうすれば次の交渉の雰囲気が確実に良くなります。

交渉は交渉が始まる前から始まっているのですが、交渉が終わった後というのは次の交渉が始まる前でもあります。

大切なのは、相手を迎えに行ったり、相手から迎えに来てもらうことではなく、ビジネスに関する話をする前に、相手と2人でビジネスとは関係ない場所でプライベートな会話をするということです。

それによって相手との関係は親密になり、相手の情報も掴むことができます。

人の心理は環境によって影響を受けるので、仕事とは無関係の場所や状況では、ビジネスモードになりにくくなります。

そんな時こそ、相手と親しくなる絶好の機会なのです。

暗示をかけて相手の本音を引き出す

初対面の相手と心の距離を縮めるには、ビジネスの場所では無いところでプライベートな会話をすることが重要なのですが、ここで問題なのが、その会話をどのようにして成立させるのか、ということでしょう。

いくらプライベートな話をしたい、個人的な話を引き出したいと思って、いきなり初対面の人を相手にするのは難しいという方もいるでしょう。

そこで役に立つのが相手を誘導する技術です。

自分が聞きたいことを相手に話してもらうのですが、それでは、相手に話させるためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

とても簡単で、効果的な方法があります。

それは、自分が聞きたいことを自分から話すということです。

例えば、相手の家族のことを聞きたい場合、大半の人は、「○○さんは兄弟がいらっしゃるのですか?」などと相手に聞いてしまいます。

このような聞かれ方をすると、「なんでそんなこと聞いてくるんだろう?」と相手は必ず警戒します。

しかし、逆に「僕には○歳下の弟がいるんですが、その弟が~」と、あなたから自分の兄弟の話をしてみます。

まず、あなたから自分の兄弟の話をしたことによって、相手が「ここは自分の兄弟についての話をする場所なんだ」と相手に暗示がかかるので、あなたが話した後に相手が自分の兄弟の話をしてくれるようになるのです。

兄弟の話題をしているときに、突然今日の朝食の話をしだす人はほとんどいないはずです。

相手から兄弟の話を聞き出したいのであれば、まずあなたから自分の兄弟の話をします。

そうすることで、相手に「ここでは兄弟の話をしよう」という暗示がかかり、相手が話すテーマを制限することになるのです。

こちらから先に打ち明けることで、相手の警戒心を抑える効果もあります。

向こうはプライベートな兄弟の話を打ち明けてくれているので、こちらもその話をしても問題ないだろうと考えるようになるのです。

それを初めから「新たに兄弟はいますか? 」「普段はどんなところに食べに行くのですか?」「休みの日は何をしているのですか?」などと次々に質問すると、大半の場合、相手は警戒して心を開いてくれません。

「どうして初対面のあなたに、そんなことを言わなければいけないの?」という気分になってしまうのです。

そうならないように、自分から先に話すことで相手の警戒心を解くようにします。

相手に打ち明けて欲しい情報があるのであれば、まず自分から打ち明けることが重要です。

信頼関係を勝ち取るために失敗を生かす

自分から先に情報を流す方法は、相手の情報を知りたい場合だけでなく、他の場合でも利用できます。

例えば、相手に知らせたくないことや、相手から隠したいことがある場合でも、大抵は自分から先にその情報を話してしまう方が良いということです。

新しい企画や新製品をプレゼンするときは、製品の欠点や企画の改善点のようなデメリットがある場合には、相手から突っ込まれる前に伝えてしまう方がお得です。

この方法は、メリットとデメリットを同時にすべて打ち明ける方が、相手を説得する効果が高いとされている人間心理を利用した考え方に基づいています。

人はデメリットを聞かされずに、メリットだけを聞かされると、その情報に疑いを持ちます。

というのも、デメリットに関する情報を明らかにしない姿勢から、不誠実な印象を持つからです。

ですから、逆にデメリットの情報を明らかにすることが、最も誠実さをアピールすることになります。

本来なら隠しておきたいデメリットを先に打ち明けることによって、相手に「誠実な人だ」という印象を持ってもらえるのです。

誠実な態度が相手に伝わると、それが信頼に変わるので、デメリットがプラスの材料にもなり得ます。

初対面の相手と交渉する場合や販売員の方であれば、最初の数分のうちに相手から信頼してもらわなければ成果につながりません。

その信頼を勝ち取るのに、このようなデメリットをメリットに変えるという技術が効果を発揮するのです。

また、相手にデメリットを話すのにはタイミングも重要です。

例えば、商品を紹介するときに、メリットとデメリットがある場合、デメリットを先に説明するのと後から説明するのでは、内容が同じでも相手に与える印象が大きく変わってきます。

メリットを先に説明してデメリットを後から説明すると、本当は隠しておきたかったデメリットをまるで言い訳のように付け加えたという印象を与えてしまいます。

これではデメリットがただの欠点にしかなりません。

逆に、デメリットを先に説明してメリットを後から説明すると、先にデメリットを説明することが相手に誠実な印象を与えることになり、さらに、後から説明するメリットに説得力が増すような印象を相手に与えられるでしょう。

またこの場合は、「後から聞いた情報の方が記憶に残りやすい」という人間の脳が持っている特性も効果的に作用しています。

情報というのは、伝える順番によって、その価値や働きに大きな違いが生じます。

隠しておきたいデメリットであっても、使い方によっては相手から信頼を得るための情報にもなりますし、強調したいメリットを引き立てるための情報にもなります。

また、デメリットを先に伝えることで、相手に誠実な印象を与えるという方法には、もう一つの人間心理が関係しています。

個人差はありますが、人は反発心を持っています。

自分に伝えられた情報に対して、人は何らかの反論をしようとしたり、反発を感じるものなのです。

つまり、隠しておきたいデメリットを先に話す方法は、このような人間の反発心を逆手に取った方法なのです。

あえて先にデメリットを伝えると、相手がそれに対して反発心を持ちます。

すると、デメリットがメリットに変わり、それが信用につながるのです。

デメリットを言うことによって、相手に「誠実な人だな」と思わせて信頼させます。

そこには人の反発心を利用するという人間心理が関係しているのです。

名刺を交換するだけでも相手の心理が読めるの?

初対面の人に名刺を渡すのはビジネスではよくあることです。

ビジネスマナーの基本として、名刺を渡すときは両手で渡したり、相手からいただいた名刺は机の上に置いておく、などのマナーがありますが、実はこの名刺交換で相手の心理を読み取って関係性を作り出す方法があるのです。

その方法とは、名刺交換をするときに相手に思い切り近づくということです。

そして名刺交換をするときに観察しなければならないのは、名刺交換をした後の相手の動きです。

相手に名刺を渡して「よろしくおねがいします」と言った後に、相手が近くなった距離のままそこに立っているのか、あるいは後ろに下がるのかを観察するのです。

名刺を交換するときに近づいても、相手がその場に留まっている場合は、相手が心を閉じている可能性が低く、短時間でも打ち解けやすいタイプです。

逆に名刺を交換する時に近づいても、その後すぐに後ろに下がって距離を置こうとする人は、警戒心が強く、打ち解けにくいタイプです。

近づいた後に下がるのは、相手との距離に負担を感じるからです。

近い距離で抵抗を感じないほどまでは、まだ相手に心を開いていないのです。

さらに、体の重心でも判断することができます。

後ろに下がらなくても、こちらが近づいた時に体の重心が背中の方に移る人も警戒心がある証拠です。

つまり、相手との物理的な距離が相手との心理的な距離といえます。

もしも自分から相手に近づくことに抵抗を感じる人は、名刺を交換するときに自分からは動かず、相手の動きを観察してもいいでしょう。

それにより、相手が一定の距離を保とうとする人なのか、近づいてくる人なのかが分かります。

また、名刺交換だけでなく、何かを受け取ったり渡したりする時にも、心理的な距離を判断することができます。

例えば、プレゼンの資料をこちらから渡す時は、相手に近づいた時の反応を観察し、こちらが受け取るときは、相手の方から近づいて来るか来ないかを観察します。

それにより、その時点での相手との心理的な距離が判断できます。

警戒心が強い人や後ろに下がる人については、まずどのようにして相手に信頼してもらうか、相手の警戒心を解いていくかを考えていく必要があります。

ここで大切なのは、物理的な距離と心理的な距離が同じであるならば、物理的な距離を縮めることで心理的な距離も近くなるということです。

例えば、相手と名刺を交換するときに、自分の指を相手の手にかるく触れるようにしてみてください。

露骨に触ってしまうと逆に警戒されてしまう可能性もあるので、少し接するくらいでいいです。

大事なのは、相手の体に接するということです。

指には多くの神経が存在していて、脳の大部分とつながっています。

そのため、名刺交換で指と指が接したという感覚が、相手の脳にインプットされます。

それが無意識のうちにあなたへの親近感に変わっていくことは十分あり得ます。

さらに相手との心理的な距離を縮めるのに有効なのが握手です。

最近では日本のビジネスの商談や交渉でも、挨拶するときに握手をすることがよくあります。

握手は相手の手に直接触れるので、相手の心理状態を把握して、コントロールするのに欠かせない機会といえます。

人は相手と仲良くなりたいという意識があると、相手の手を包み込むように優しく握手をします。

強く握る方が相手に気持ちが伝わると思うかもしれませんが、 20代から30代の若いビジネスマンが年上の方と握手をする場合には、あまり強く握りすぎると生意気でプライドが高い印象を相手に持たれてしまいます。

相手が年下ならばまだ許容範囲ですが、ビジネスではなるべくこちらから強い握手はしない方が良いでしょう。

ただ、相手の方が先に強く握ってきた場合は、こちらも強く握り返したほうがいいです。

相手の行動を真似することで、相手に親近感を作り出す効果が期待できるからです。

また、握手には相手の握り方や力の強さの他にも、ふたつの心理的な観察を行う方法があります。

1つは、手のひらと手の甲の発汗量の差を判断します。

もう一つは、手首に軽く触れることによって、相手の脈拍数を測ります。

それによって、相手の緊張の度合いを判断することができるのです。

人は温度が高いと手の甲に汗をかき、緊張すると手のひらに汗をかきます。

そのため、握手した時に手のひらに汗をかいていれば、緊張していることがわかり、手の甲に汗をかいていれば、ただ単に暑いだけと判断できます。

また、緊張すると脈が早くなるのは言うまでもありません。

そして、話し合いが終了した後にもう一度握手をすると、初対面の時よりも脈が早くなっているのか、遅くなっているのかまでわかります。

握手をするときに脈を測る方法は簡単です。

親指の付け根に軽く触れるだけです。

事前に握手を練習しておけば、誰でも簡単に脈を測れるようになります。

握手するだけで相手の全てが分かるわけではありませんが、相手の心理を判断することに関してはかなり役立ちます。

そうすることで自分から行動を起こせるので、相手より優位な立場に立つこともできます。

商談や交渉でその場の主導権を瞬時に握ることができる方法

ビジネスを始めるときに行う挨拶、名刺交換、握手によって相手の心理状態を判断することができるということを説明しました。

そして、これらの行動は相手が行う前に、あなたの方から先に行う方が効果的です。

そのタイミングが早ければ早いほど効果が高いといえます。

挨拶は誰よりも早くすることで、その場の空気をあなたが支配し、優位に立つことができます。

ビジネスの交渉などでは、自分と相手のどちらがその場の主導権を握っているかによって、結果に大きな差が出ます。

そのため、初対面の相手とは早い段階で、「主導権がこちらにある」ということを相手に思わせることができれば、その後もあなたは優位な立場で交渉を進めることができるでしょう。

優位に立たれてしまったと相手が自覚していなくても、無意識のうちに思わせる方法が「相手よりも先に行動する」ということです。

相手よりも先に行動すると印象に残りやすいので、その点でも効果的です。

大切なのは1番最初に行動することです。

最初に行動することによって、その場のルールが決定されるのです。

あなたが先に挨拶や名刺交換をして、次に相手がそれに合わせるという状況を作ることで、それがその場のルールとなり、主導権を握りやすくなるのです。

自分がその場の主導権を握るということと、相手より優位な立場に立つということが、自分にとって快適な空間を作ることにもなります。

その様な空間を心理学ではコンフォートゾーンといいます。

交渉は自分のコンフォートゾーンで進める方が有利なのは間違いありません。

そのような空間を最初に作るためには、挨拶や名刺交換を必ず相手よりも先に行う必要があるのです。

また握手をするときに、もう片方の手を相手の肘に添えることで、自分の方が主導権を持っていることを伝えることができます。

そうすることで、された側も、無意識のうちに相手に主導権を握られていると感じやすくなります。

商談や交渉で相手に合意させやすい時間帯がある

商談や交渉などで相手に合意させるためには、交渉に適した環境や状況、時間帯があります。

それは、午後の初めか、できるだけ夕方に近い時間帯と言われています。

まず午後の初めがおすすめなのは、食事の直後だからです。

人間は満腹になると、脳の働きが鈍くなります。

食後は食べたものを消化するために消化器系に血液が集中するので、脳に血液が少なくなってしまうからです。

逆に空腹であれば、脳の働きが活性化します。

過度な空腹の場合は血液中の糖分が少ないので、脳に栄養が回らず、動きが鈍くなるようですが、適度な空腹の場合は脳の働きが活性化します。

商談や交渉で駆け引きをする場合、相手の脳の働きが鈍くなっていて、逆に自分の脳が活性化しているときに行うのが理想的です。

人が説得されやすいのは、満腹で判断力が鈍っている時です。

相手が満腹の時に、こちらが適度な空複状態で交渉に臨むことは、ビジネスを成功させる上で役に立つ技術です。

次に、夕方をおすすめする理由は、1日の中でもっとも疲労がピークに達している時間帯だからです。

1日の中で人間の購買欲が最も高い時間帯は、夕方の6時から夜の10時と言われています。

疲れがたまって判断力が鈍っているので、広告に影響を受けやすくなり、買ってしまうのです。

つまり、人はその時間帯に最も周囲の情報に影響を受けやすくなるので、周囲の人から説得されやすい状態になるということです。

午後の初めの満腹状態になっている状態と同様に、1日の疲れがピークに達している夕方も、脳の働きが鈍っているので、交渉を有利に展開するのに最適な時間帯だといえます

また、心理学の実験で、人は晴れている日は説得されやすく、逆に暑い日は攻撃性が高くなって説得されにくいという報告もあります。

そのため、晴れた日の午後の初めに、屋外で打ち合わせをすると、案外仕事がスムーズに進むかもしれません。

食事をしながら打ち合わせをするとビジネスがうまくいく

食事をしながら打ち合わせをするのは、効果が高いのでおすすめです。

人は同じ相手と食事をしている時としていない時を比較すると、している時の方がはるかに好意的になりやすいということが実証されています。

というのも、人は食べ物を食べている時に、心理的に無防備な状態になるからです。

また、人は物を飲み込んでいるときに暗示にかかりやすいとも言われています。

ものを飲み込むという行為は、途中で止めることができません。

そんな状況に置かれているときは、相手から話しかけられたことを受け入れやすくなります。

無意識のうちに、そのまま受け入れるしかないという心理が働いているようです。

つまり、相手が飲み込んでいるときに、交渉の話をすれば、相手から思い通りの答えを引き出しやすくなるということです。

相手がお茶やコーヒーを飲んでいる時などは、大きなチャンスです。

食事中は、さらにねらい目です。

実際には食事中に交渉するのは難しいかもしれませんが、食後にコーヒーを飲んでいる時なら行いやすいでしょう。

また、ある大学の研究によると、人はコーヒーを飲むと説得されやすくなると言われています。

コーヒーにはカフェインが含まれており、カフェインには人を興奮させる作用があるため、神経が敏感になり、相手の話に対する興味が増して、注意深く聞くようになります。

その結果、相手から説得されやすくなるようです。

そのため、商談や交渉では相手にお茶を出すよりも、コーヒーを出したほうがいいでしょう。

もしも相手がコーヒーが飲めないのであれば、コーヒーの香りを出すだけでもいいです。

人は香りだけでも説得されやすくなるという研究結果もあります。

ちなみに、人は気分が良くなると協力的になり、リスクを回避しようとします。

そのため、相手が好みそうなお店で食事をしながら、リスクが低いことを強調した企画を提案すると、相手を説得できる可能性が高まります。

ですから、食事をしながら軽く打ち合わせをすることは、交渉においてこれ以上ないチャンスなのです。

伝えるべき情報を確実に伝えて相手を説得する技術

商談や交渉で求められるのは、伝えるべき情報を確実に伝えて相手を説得する技術です。

重要なポイントがよく分からなかったり、長い説明をされた割には、商品の特徴が印象に残らないという事では、相手を説得するどころか、ビジネス自体がうまくいきません。

こちらの情報を相手に認識させたり、相手の記憶に印象づけるのは、商談や交渉の基本です。

それでは、そのためにはどうすればいいのでしょうか。

それは同じ情報を繰り返し伝えることです。

情報は回数を多く相手に提示するほど、相手の脳に焼き付いて、記憶に残りやすいからです。

ただ闇雲に何でもかんでも欲張って情報を詰め込んでしまっても、結局何が言いたいのかが伝わりにくく、結果的には相手の記憶に全く何も残りません。

ですから、繰り返しの技術を使うのであれば、

①これだけはどうしても伝えたいという重要な情報を1つに絞り込む

②その他の情報は、思い切ってすべて捨ててしまう

③3回から10回くらい不自然にならないようにその言葉を繰り返す

以上の3つを守ることが大切です。

言葉を繰り返すときには、表現を変えて繰り返すようにします。

心に響く言葉は相手によって異なります。

そのため、成功確率を上げるためにも、表現を変えて繰り返すということが重要です。

ですから、相手に伝えたい情報や売り込みたい情報は、3回から10回くらい表現を変えて繰り返します。

一見簡単に見えますが、これがなかなかできない人も少なくありません。

頭では分かっていても、それを実際に行動に移さなければ、その知識を使っていることにはならないので注意が必要です。

最初から繰り返すことを前提に、相手の記憶に残るための仕掛けを作っておけば、あなたの企画の説得力がより強くなるでしょう。

相手の言葉を盗んで企画を通す

人はどんなに騒がしい場所でも、自分に関係のある会話であれば耳に入りやすく、聞き取ることができます。

様々な情報が混ざり合った状況でも、人間の脳は自分に関係のある情報だけを選別することができます。

人間はたくさんの情報と接したときに、自分と無関係な情報や必要としていない情報はほとんど脳に入ってきません。

逆に自分に興味、関心がある言葉があると、その他の情報が混ざっていても耳に入ってきます。

特に意識をしていなくても情報が入ってくるものなのです。

人にはそれぞれに反応しやすい言葉があり、その人の生活の中にはその言葉に対する条件反射が生じています。

それを有効活用できれば、相手の心理を判断しやすくなるはずです。

例えば、商談や交渉で説明をする場合でも、取引先でよく使われていると思われる言葉を意識して話の中に入れてみます。

さらにその言葉を使うときに、他の言葉よりも声を大きくする、あるいはその言葉を使う前に少し間を置いてみると、さらに重要度が増します。

そうすると、相手は興味が増して、その言葉に反応するので、話の内容に関心が高まり、耳を傾けてくれるようになるのです。

また、会社の応接室に社訓のようなものが書かれていたりすれば、その中から言葉を抜き出して説明に使ってしまうのです。

人は自分が大事にしているものを大事に扱ってくれる人や共感してくれる人に親近感を抱くからです。

このような効果は言葉に限ったことではなく、文字にも当てはまります。

プレゼンの企画書等を作るときでも、普段から相手が使っている単語を使うことで読んでもらいやすくなります。

そのため、取引する相手の業界でよく使われる言葉や相手の口癖を確認しておくことがとても重要です。

あなたの評価を高める記憶術

伝えたいことを何度も繰り返して伝えるという手法は、相手の潜在意識の中に伝えたいことを残すための技術です。

また、それに加えて相手の記憶や印象により鮮明に残すために役立つのが、同じ言葉を繰り返すタイミングです。

人間の記憶は20分間で60%くらいまで失われるという実験結果もあります。

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが表した「エビングハウスの忘却曲線」によると、私たちの記憶は20分間で40%ぐらい忘れてしまいます。

そしてその後も時間が経つにつれて、少しずつ記憶が失われていくといいます。

そのような失われていく情報の中で記憶に残りやすいのは、繰り返し見たり聞いたり体験したりしたことや印象の強いことだけです。

そのため、繰り返して印象づけることが重要なのですが、それすらも時間が経つにつれて薄れていくのです。

しかし、その一方で、記憶するタイミングを提唱したのがP.ラッセルです。

ラッセルは20分経過してから復習すると、2度記憶できるため、忘却の落ち込みは緩やかになり、さらに1日後、 1週間後、 1ヶ月後に復習すると、最終的にはほとんど落ち込まなくなるといいます。

そのように記憶が定着するということをラッセルは「復讐曲線」で表わしました。

交渉やプレゼンで情報をしっかり伝えるには、まず最初の20分間が重要です。

そこで何度も繰り返して、相手の記憶に定着させます。

そして20分後に、表現を変えて繰り返します。

そしてその日、翌日、1週間後に繰り返して伝えるのです。

例えば、交渉やプレゼンが終了した後、相手と別れてからすぐにお礼のメールを送り、メールの最後にもう一度、どうしても伝えたい情報を書いたメールを送ります。

プレゼンで相手が興味を持った部分をメールに書いても良いでしょう。

そして「詳しい資料を追ってお送りします」というようなメールを翌日に送り、さらに1週間後に様子見のメールを送ります。

優秀なビジネスマンは、メールでの連絡をマメに行っています。

記憶の忘却とそれを防ぐタイミングを見極めながら、相手と連絡をとっているのです。

プレゼンの後にすぐに連絡をとっても、その後放置しておけば、一見仕事が早いように見えても提案したい企画は相手の記憶に残りにくくなります。

資料を送る場合でも、相手から要求されなければ、記憶を定着させるためにあえて時間をおいて翌日に送るのも効果的です。

要するに、記憶の定着は相手と接触する回数で決まります。

また、行為や印象も繰り返し接触した回数で決まるという「ザイアンスの法則」という法則もあります。

相手に印象づけるためには、相手が忘れかけたタイミングで再び接触することがとても重要なのです。

企画書は完璧でない方が通りやすい

交渉やプレゼンで欠かすことができないのが企画書などの資料です。

企画書の最大の目的は、相手に企画の要点を理解してもらうことです。

しかし、相手に詳しい情報を伝えようとしすぎると、無駄に長くなってしまいます。

データや数字が多すぎて難しくなってしまい、相手に伝わりにくくなってしまうといったケースは少なくありません。

企画の要点を説明するという点に関しては、文章は短いほど解りやすくなります。

本来、ビジネス書は企画書で提案している内容だけで全てが決まるわけではありません。

あくまでもそれを元にしてお互いにやり取りをしながら作り上げていくものです。

企画の要点さえしっかりと書かれていれば、それほど細かく作る必要はないのです。

最終的にはプレゼンの現場で決まります。

企画を出した時や企画を説明した時の相手の反応からニーズを読み取り、それに合わせて内容を変更して行くことによって、その企画はより魅力的なものにできるのです。

完璧に企画書を作り込んでしまうと、相手がその企画書しか見なくなるので、相手の顔が見えなくなってしまいます。

相手の顔が見えなくなると相手の表情も見えなくなるので、相手の考えを読み取ることもできなければ、自分を印象づけることもできなくなってしまうのです。

また、完璧な企画書だと、こちらが思っていることしか相手に伝わらず、相手が自由に解釈できなくなってしまいます。

解釈の窓口を広げておくことで、相手のニーズに合わせて修正できるようにしておけばいいのです。

交渉やプレゼンで提案するときには、あまりパワーポイントや、詳細なレジュメなどは使わない方がいいです。

そのようなものを使ってしまうと、相手がそれしか見なくなるからです。

相手が顔をあげて自分を見てくれなければ、相手の心を誘導することができないのです。

最初は顔を見ながらじっくり話をして、企画書などは終わってから渡します。

もちろん相手のタイプや業種にもよりますが、企画書などは簡単なものだけを用意しておいて、詳細なものは後で渡すようにすればいいでしょう。

企画書を3種類用意しておく理由とは

交渉やプレゼンでは企画書は単なるきっかけに過ぎません。

とはいえ、最終的には相手に詳細な企画書を作成して提出する必要があります。

その際に、相手にしっかりと読んでもらえる企画書を作るには、ポイントがあります。

それはひとつの企画に3種類の企画書を用意するということです。

①シンプルで論理的にまとめてあるもの

これは論理的に考える人用です。

②企画立ち上げの背景や街の声などの情に訴える内容のもの

これは心に響くモノを好む人用です。

③統計や検証結果などの数字に重点を置いたデータ

資料やデータが多いほどいいと思っている人向けです。

これらの3種類の企画書を用意しておけば、相手がどういうタイプであっても対応できます。

例えば、論理的に考えるのを好む人には、論理的で簡潔な説明を望む①のタイプと、資料やデータが欲しい③タイプの2タイプがいます。

①のタイプに詳細なデータを渡しても、読むのが面倒で読んでもらえない可能性も出てきます。

そういうタイプでは簡潔な企画書を見せると好感を持たれます。

相手が③のタイプであれば、データが多ければ多いほど、「こいつは仕事ができる奴だ」と思われます。

そのため、しっかりと相手に数字やデータを見せるようにします。

企画書の相手のタイプに合わせて3つ用意するとなると、もちろん企画書を作成するのに手間はかかるかもしれませんが、その分だけ相手に読んでもらえる確率は高くなるはずです。