身体言語を読み取るボディー・リーディング

ボディー・リーディングで最も大切なのは、「私たちは口だけではなく、体でもメッセージを語っている」ということです。

例えば、家族や友人に限らず赤の他人でさえも、顔さえ見れば何も語らなくても、その人が今どんな気分なのかがわかることが多いでしょう。

相手が怒っているのか、悲しんでいるのか、機嫌がいいのか、それとも退屈しているのか、私たちは、相手の体が発しているメッセージから、それを感じ取ることができます。

例えば、唇のしわ、あごの動き、まぶたのひきつり、首に添えられた手、下がった口角、遠くを見る目などは、何らかのメッセージを語っているはずです。

また、身体言語は決して体の動きや姿勢や身振りだけを指しているのではありません。

例えば、服装、髪型、アクセサリー、触った時の感触など、すべてが何らかのメッセージを語っているのです。

相手が目を合わせようとしない理由とは

私たちは何をしていても、常に周囲に何らかのメッセージを伝えています。

たとえ何も喋っていなくても、それ自体が1つのメッセージになるのです。

たくさんの知り合いがいる部屋に入っていくときに、誰にも挨拶せず、目線も合わせず、笑いかけたり話しかけたりもしなければ、それは「今、私は機嫌が悪いです」と言っているのと同じです。

また、もし目線を合わせなかったり、笑顔を振り向けなくても、そこには必ず何らかの表情や身振りが表れます。

表情や身振りは、重要なことを強調し、曖昧なことを明確に表すことができるコミュニケーションの大切な手段です。

1度試しに身振り手振りを交えずに、駅までの道順を説明してみてください。

手や腕が動かないように意識しなければならなくなるので、かなり難しいはずです。

私たちは大半のしぐさを無意識のうちに行っています。

無意識のしぐさというのは、言うまでもなくコントロールするのがとても難しいです。

「身体言語は言葉よりも本心に近い」と考えられているのは、それが原因です。

言葉で最後まで嘘をつき通すことができても、体にそれを出さないようにするのはとても難しいです。

普段無意識のうちに行っている表情や身振りを急に意識してしようとすると、今までそこにほとんど意識を向けていなかったことがわかります。

そして、1度意識するようになると、身体言語が不自然になり、他人の目から見ると奇妙に見えてしまうのです。

また、相手の話に集中できなくなるため、コミュニケーション能力が高くなるどころか、むしろ悪化してしまいます。

今まで無意識でやってきたことを意識しようとし過ぎたばかりに、そのようなことになってしまうのです。

無意識のしぐさを意識して変えようとしても、自然なしぐさにはならないため、どうしてもしぐさに本音が出てしまうのです。

言葉を発する前の動作に注目する

私たちは口で言葉を発するだけでなく、体全体で常にコミュニケーションをとり、考え、話をしています。

では、ある感情が起こったとき、その次に現れるのは言葉と動作のどちらでしょうか。

実はその順序はどのような人にも共通しています。

それは、感情→動作→言葉という順番です。

例えば、すごく腹が立った時に、あなたにどんなことがどんな順番で起こっているのかというと、

①「私はとても怒っている」と気づく

②手で机を叩く

③「もう我慢の限界だ!」と言葉が出てくる

また、うっかり何かを忘れていた場合は、

①「何かを忘れている」と気づく

②両手を叩く

③「なんでこんなにすぐ忘れるんだろう! 出かける前にちゃんと電気消したかな」と言葉が出てくる

この順番は、特に意識しなければ、絶対に変わることがありません。

そして、より重要なのは、言葉は嘘をつくことがあるということです。

動作には本音が出てしまいますが、その後に発する言葉は嘘を付くことができます。

つまり、相手の本音を見抜くには、言葉を発する前の動作に注目すればいいのです。

例えば、街で偶然知り合いに会ったとき、その人に会えて本当に嬉しければ、知り合いにに気づいた直後に笑みが浮かび、その後相手に近づいて声をかけます。

もし相手が自分のところに近づいてきてから「君に会えて嬉しいよ」と言って笑みを浮かべているようであれば、喜んでいるふりをしていると判断できます。

あなたが相手からどう思われているかを見抜く5つの方法

この5つの方法を身につけると、周囲の人たちがあなたをどう思っているのか、あるいは、何を考えているのかを見抜くことができるようになります。

ここで紹介する方法を念頭に置いて、普段の生活の中でしっかり観察し、実践してみてください。

方法① 相手の表情から感情を見抜く

表情にはその人の感情がはっきりと現れます。

人間の顔には44個の筋肉があり、それらが動いて様々な組み合わせをすることで、表情が出ます。

特に目、鼻、口などのよく動く部位では、今の感情が現れやすいです。

また、基本的な感情を表している表情は、人類の遺伝子に組み込まれています。

そう考えられる理由は、「喜び、幸せ、驚き、怒り、悲しみ、恐怖、嫌悪」を示す表情が世界中で共通しているからです。

つまり、このような感情は本能的に備わっているものなので、無意識のうちに表に出てしまうということなのです。

ここで1つ試してみてください。

先ほど述べた基本的な感情の中から1つを選び、まずあなたがその感情を心に呼び起こします。

次に、相手にその感情を当ててもらって、その答えを表情で示してもらいます。

すると、こちらの感情はすぐに相手に伝わり、相手の表情がどの感情を示しているのかもすぐにわかります。

1秒未満というとても短い時間での表情変化だけでも、その人の本心が表れます。

表情が一瞬で消えてしまうので見極めるのはとても難しいのですが、訓練することで読解できるようになります。

普通の表情とは異なり、微表情はごまかすことができません。

そのため、とても信頼できるサインといえます。

もう一つの例を紹介します。

会議で同僚に仕事を頼んだとします。

そこで、同僚は口では「うん、いいよ」と答えるかもしれません。

しかし、その時に顔をしかめて、鼻にしわが寄っていたら、それは怒っているというサインです。

たとえ一瞬であっても、その表情は確実に不快感を置き換えているのです。

また、表情は人から人に伝染します。

あなたがある表情をすると、相手も同じような表情を返してきます。

つまり、顔の表情には、相手の表情を変えるだけの力があるということです。

例えば、あなたが笑うと、相手も同じような笑顔になります。

そのため、日々の生活を笑顔で過ごすことはとても重要です。

浮かない顔をしていては、見た目が美しくないだけでなく、自分の身の回りにも浮かない顔した人たちを引き寄せてしまいます。

信じられないかも知れませんが、これは本当の話です。

人は楽しいから笑顔になるというだけでなく、笑顔になることで楽しく感じられるようになるのです。

方法② 手の動きで何を大事にしているかがわかる

身振りとは、手、足、頭の動きのことです。

私たちは身振りによって言葉を使わずにコミュニケーションをとったり、自分が発言している内容を強調したりします。

特に話しながら手を動かしている人がたくさんいます。

というのも、脳内では言葉と手の動きをつかさどる部位が同じ場所にあるからです。

そう考えると、手を動かすことと話すことが密接な関係にあるのも納得できます。

人は電話をしているときに、相手が見えなくても、つい手を動かしてしまうことがあります。

また、生まれつき目が見えないことで、他人の身振りを全く見たことがない人でも、話すときに手を動かすことがあるというので、その動きは本能的に備わっていると言えます。

私たちは身振りによって自分の考えを補っていることがよくあります。

大事な書類を指差すのは、その書類の重要性を明確にさせるためです。

逆に言えば、わざわざ指差したものは、その人が大切だと思っているものである可能性が高いと言えます。

そして、身振りは大半の場合、無意識のうちにしているものです。

いちいち頭で考えてから髪の毛を耳にかけたり、鼻を掻いたりする人はいないでしょう。

とはいえ、無意識に行う身振りも、もちろんあります。

ただし、無意識に行う身振りには、少し注意が必要です。

このような身振りは、決して世界共通のものではなく、国や文化によって全く違う意味があることも少なくないからです。

例えば、大半の国では、うなずく動作は「はい」を意味しています。

しかし、インドやパキスタンでは、肯定したいときには頭を左右に傾けます。

そのことを知らないでいると、とんでもない誤解を生むことにもなりかねません。

方法③ 歩き方で心の状態を見抜く

ただ単に、歩いたり座ったりするだけでも、いろいろな情報が現れます。

その時の気分や、ものの考え方が現れてしまうのです。

というのも、体は思考の影響を受けているからです。

人間の体内では、感情によってさまざまなホルモンが分泌されています。

このホルモンが血液の循環を抑制したり、活性化したりすることによって、私たちは急に体がすくんで動けなくなったり、素早く行動することができるようになっています。

椅子に座るときに体を怖がらせるか、ぐったり沈み込むように座るか、あるいは、軽快な足取りで歩くか、おどおど歩くかなど、そのときの心理状態によって、人の動作は全く違うものになります。

私たちは自分の体から発せられるサインを黙らせることはできません。

また同時に、他人の身体が発しているサインを無視することもできません。

そのようなサインは見つけられると、すぐに直感的に解釈されます。

例えば、椅子の端っこに縮こまって座っているような人を勇敢なタイプとは考えにくいですし、力強い足取りでどしどし歩く人を臆病なタイプと考える人はいません。

しかし、身体言語はとても複雑にできていて、必ずしもこのように明確になっているわけではありません。

そのため、まるで外国語を学ぶように、しっかりと学ぶ必要があります。

方法④ 「距離」であなたへの好感度がわかる

人と人がコミュニケーションをとる際には、両者の距離がとても近いこともあれば、一定以上に保たれていることもあります。

そこには、様々なメッセージが隠されています。

私たちは普段、他人との距離にとても敏感になっていて、無意識のうちにその場にいる全員が心地よく感じられるような距離を保とうとします。

もし誰かが、あなたに近づいてきたら、その人はあなたに好意を抱いているかもしれません。

例えば同じ電車内にいる場合、どうしても他人との距離が近くなってしまいます。

そのため、電車内ではできるだけ他人を無視し、無表情のままじっと前を見て他人と目が合うのを避けようとするのです。

方法⑤ 服装で自我を見極める

服装や身につけているものも、文化的な形で表現されている身体言語です。

着る服を選ぶことによって、私たちは自分がどのような人間に見られたいかも同時に選んでいます。

ビジネスマンか、スポーツマンか、芸術家か、常識人か。

ネクタイを選んだり、アクセサリーをつけたりするのも、ただ単に自分に似合っているからではなく、それによって周囲の人に何かを伝えたいからです。

つまり、服装によって相手はあなたに何らかのメッセージを伝えようとしているのです。

伝えたい内容は「自分が裕福層の人間であること」であるかもしれないし、「自分が特定の集団に属していること」かもしれません。

さらには、「他人からどう思われようと全く気にしない人間であること」を示したいケースもあるでしょう。

世間にはドレスコードというものが存在しています。

そのため、葬式では全員が黒い服を着ていますし、カジュアルな格好でクラシックのコンサートに訪れる人はほとんどいません。

ドレスコードに従わない時点で、それがその人の明確なメッセージになるのです。